肩関節の故障を防ぎ柔軟性を高めるには肩甲骨の動きがカギに
2017.10.28
手でボールを投げる、ボールを当てる場合、ほとんどの人が意識できるのは運動したい方向への動作です。
それは肩関節の背中側の上から胸側の下へと、背中側の下から胸側の上への動作といった一方通行の動きになります。
例えば右肩を同じ方向の動きを続けていると、右肩が胸側の斜め下方向に曲がり、左肩は背中側の斜め上方向へ曲がっていきます。
元々二本足で立っているための内臓の配置がさらにそのことを助長します。
ほとんどの人が右利きですので、上記の姿勢になり肩甲骨の位置取りも狂い、バランスを崩している人も多いのが現実です。
今回紹介するストレッチは、このような肩の故障になりうる姿勢を改善するためのメニューです。
是非お試しください。
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肩関節の柔軟性があるか早速チェック
立った状態で、右の肘を肩の横に持ってきてください。
この時、肘を90度に曲げ、手のひらは頭の方を向くようにしましょう。
脇と肘が90度になるようにセットしたらチェックです。
肘の位置を変えずに手を上下に向けます。
右腕の後、左腕も同様にチェックしてください。
チェック方法
- 右手の指先を上に向けた状態で右の肩、肘、手の関節がそれぞれ90度以上である。
- 1の状態で90度に満たない。
- 右手の指先を下に向けた状態で右の肩、肘、手の関節がそれぞれ90度以上である。
- 3の状態で90度に満たない。
- 左手の指先を上に向けた状態で左の肩、肘、手の関節がそれぞれ90度以上である。
- 5の状態で90度に満たない。
- 左手の指先を下に向けた状態で左の肩、肘、手の関節がそれぞれ90度以上である。
- 7の状態で90度に満たない。
判定
- 1で且つ3、5で且つ7の場合は左右共に柔軟性がしっかりあります。
- それ以外の場合は関節の柔軟性はそれぞれ失いかけていたり、ないものがあったり、または左右のバランスが崩れかけているので、怪我をしやすい状態もしくは怪我の状態にあると言えます。
90度に満たない原因は近位関節である肩関節に原因があることがほとんどです。
そしてその肩関節に影響しているのが肩甲骨の動きだと言えます。
この後詳しく説明します。
肩甲骨の柔軟性アップは肩関節の動きを良くする
肩甲骨と腕側の骨である上腕骨は、デコとボコではないですが肩甲骨側の先が丸くくり抜かれたボコ状態になっています。
そして遊びがあり、上腕骨が丸く出たデコ状態になっています。
それが、腱や筋肉によってはめられる方とはめる方を繋ぎ、支え合っています。
関節部分が同じ筋肉で支えあっていますから、一方の柔軟性が失われると特に頸部、体幹上部の柔軟性が失われると様々な肩関節の怪我をしやすい状態になります。
肩甲骨は背骨から外へ広がる動きは比較的しやすいですが、反対に背骨に寄せる動きは苦手です。
肩甲骨が外へ広がる動きは猫背を助長し、寄せる動きは正常な体の姿勢を保持できる要素になります。
この正しい姿勢で、肩関節を動かすことはとても大切ですが、人間の体は背骨が自然と丸まりやすいので、丸まれば丸まるほど肩甲骨は外へと広がります。
そうなってくると手を挙げることも手を下げて背中側への動作もやりにくくなります。
だからこそ正しい姿勢が大切なのです。
肩関節の内側の筋肉、インナーマッスルを鍛える
肩関節の肩甲骨側と上腕骨側は、様々な筋肉や、骨と筋肉を繋ぐ腱で構成されています。
その中でも内側にある筋肉(インナーマッスル)は、肩関節の動作、特に投球動作に最も大切な腱であり、回旋筋腱板(かいせんきんけんばん )通称ローテーター・カフと言っています。
このローテーター・カフは肩甲骨の前面と後面から起こる4つの筋、すなわち肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の腱のことです。
この4つの筋肉と腱は、肩関節の捻る動きに利用する筋肉で、特に投球動作のパフォーマンスを上げたい時にはとても大切なものになります。
そしてここを鍛える、また柔軟性を上げるためには、捻る動きの中にストレッチやトレーニングを入れる必要があるのです。
通常のウェイトトレーニングは外側の筋肉をつけたい時は有効ですが、内側の筋肉もつけたい時は捻るという動きと共にしていかなければならないので、かなりレベルの高いものになります。
徐々に重量を上げて行く必要がありますが、重力などを利用した自重で十分なウェイトになるため、捻ることによって鍛えられます。
また最近のスポーツのトップレベルでは筋肉をつけすぎず、外内の筋肉のバランス、そしてそのスポーツに必要な筋肉をつけるということがパフォーマンスアップに繋がると考えられています。
この後紹介するストレッチは肩関節の捻りの動作があり、この4つのインナーマッスルと腱の柔軟性を高め怪我の予防に有効なメニューとなっています。
肩関節動きを良くする肩甲骨ストレッチ ショルダーエレベーションの流れ
今回はショルダーエレベーションという、肩のストレッチです。
ボールを投げるような動作をする競技者の故障の予防や改善に有効なストレッチです。
立った状態で、右の肘を肩の横に持ってきてください。
この時手のひらは自分の方を向くようにしましょう。
注意点としては、脇と肘が90度になるようにすることです。
そこから手を下に回していきましょう。
この時も肩、肘の関係は変わりません。
手を下に向けた時は手のひらが外側を向くようにしてください。
上に戻した時は手のひらが内側を向くようにします。
この上下の動きを10回繰り返してください。
10回終わったら左も同様にやってみましょう。
ショルダーエレベーションのポイント/回数・タイミング
ショルダーエレベーションを行う上でのポイント
できるだけ姿勢を正しく猫背にならないようにして行ってください。
肩甲骨側と上腕骨側がタオルを絞るような感覚でするとより効果が高まります。
回数・タイミング
予防改善やウォーミングアップで10回1セットを左右交互に毎日3セットしてください。
ストレッチ目的/強度/ターゲット
目的
肩関節の捻る動きのストレッチ。
肩甲骨可動域拡大。
運動強度☆☆
誰でもできます。
このようなお悩みがある方
- 肩関節に違和感や軽い痛みがある方
- 可動域に制限があり腕が動かしにくい方
- インナーマッスルに不安がある方
ストレッチは以下のことを守って進めてください。
【ストレッチ動画No.116】肩甲骨を使ったショルダーエレベーションで肩関節の動きを滑らかに
肩甲骨から肩関節の動きを連鎖させ、さらに柔軟性アップ
このストレッチで肩甲骨の動きと肘の動き手首までが連動して動く感覚が得られるでしょう。
この連鎖運動がそれぞれの関節に関係する筋肉の柔軟性を高めていきます。
野球のピッチャーのように変化球を投げる際、手首で様々なボールの回転をかけるスポーツは、肩のインナーマッスルや腱を痛めやすいです。
特に肩関節と手首の柔軟性が失われると肘の痛みを受けやすいです。
近年多種の変化球が生み出され、それとともに肘の怪我が急増し肘の手術に至ることも多くなりました。
そうならないためにも、今回紹介する肩関節のねじりのストレッチを毎日して予防することが大切です。
また変化球は手首や指先で変化させますから、様々な動きができるように、指先で水を弾くような動作(スナップ動作)をしてから行うと効果が上がりやすいです。
そうすることによって、ボールを投げる動きがスムーズに行われやすくなり故障の予防に繋がります。
是非ウォーミングアップとして取り入れてください。
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